会長あいさつ

 愈々、新しい年の幕開けです。新年の始めに当り、お一人ひとりの胸に去来するものは果して何でありましょう。ご自分の身の上や家族のこと、仕事のこと。社会の、そして、国家のありようのこと。人それぞれに背負っているものが違い、担うべき課題があります。

 天皇陛下は師走の23日、78才のお誕生日に当り、国民に対しマスコミを通じてご感想を述べられました。その大半は、あの3月11日の東日本大震災をはじめとした災害にお心を悩まされたことでした。その一文の中に、「私どもの住む日本は、四方に海を持ち、山や川も多く、風光に恵まれた島国です。一方、我が国は地震が多く、火山や急峻(きゅうしゅん)な山川、日頃は人々に幸を与えてくれる海も、時に荒れ、多大な被害をもたらします。この厳しい現実を認識し、災害時における人々の悲しみを記憶から消すことなく、常に工夫と訓練を重ね、将来起るべきことに備えていかなければならないと思います。」と述べられました。結び近くには、過ぐる大東亜戦争にふれられ、「今年は先の戦争が始まって70年になります。この戦争における死者はおびただしい数に上り、戦後、こうした戦争の惨禍を再び繰り返すことのないよう、日本の人々は、真摯(しんし)に過去を学びつつ、戦後の厳しい困難に耐え、営々と国づくりに励み、今日の日本を築き上げました。戦争の記憶が薄れようとしている今日、皆が日本が辿った歴史を繰り返し学び、平和に思いを致すことは極めて重要なことと思います。」と述べられています。

 私はこのご文章を拝読しながら、親友の結婚式に寄せられたある有名歌手のメッセージを思い出さずにはおれませんでした。その人は、新郎新婦に対し、「幸せを選ぶことは不幸(ふしあわせ)を覚悟すること」と語りかけました。私たち日本国民は、四季に彩れるこの日本を父祖の地として生を享けています。この日本の国土、そして、この日本の歴史から逃れようのないことは明確で厳粛な事実であります。私たちはこの現実と歴史をしっかりと背負い、それらの課題に正面から向き合っていかなければなりません。まさに、“苦難と覚悟の共有“を求められているのです。

 陛下が「災害に明け暮れた心の重い年」と、そのご心情を吐露された年も、女子サッカーのなでしこジャパンの世界制覇、ソフトバンクホークスの日本シリーズ制覇、九州新幹線の全線開通と私たちの周囲には明るい話題も提供され、復興の兆(きざし)も散見されてきました。なでしこジャパンの主将 澤 穂希さんが、その優勝の記者会見で栄冠までの足跡を辿り、「平成20年(2008)には4強入りを宣言し北京オリンピック4位入賞を果し、平成21年(2009)には世界の頂点を狙うと誓い、平成23年(2011)ドイツで開かれたワールドカップでついに世界制覇を実現した」と振り返っていました。リーダーが腹を決め、チーム全員がその目標に向って一丸となって困難に耐え続け見事に克服。優勝直後に絞り出された言葉は「サッカーの神様がいた。私たちは運を引き込む力があった」との名文句でした。まさに、“苦難と覚悟の共有”が成さしめた神業(かみわざ)であったと思います。私たちもなでしこジャパンのリーダーの夢の実現の方程式に学び、一つひとつの事業に取組んでいきたいと考えています。「わが日本に復興の神様がいた。私たちには日本再建の底力が与えられた。」と喝破できるように。

平成24年01月05日
福岡産業振興協議会
会長

小早川明徳

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